怒られるのが怖い——ただそれだけの新人だった
支援の仕事に就いたばかりの頃、私はとにかく「怒られるのが怖い新人」でした。
失敗を恐れるというよりは、上司に怒られることを避けたい一心で働いていたと言ってもいいかもしれません。
当時の私は、業務の意味や背景を深く考える余裕もなく、ただ「間違えたら怒られる」「だから間違えないようにしなきゃ」という感情だけで動いていました。
中でも、ある上司はとにかく厳しくて、職場の空気がピリつくほど。
その存在がいつも頭の中にあって、気がつけば怒られないための“正解探し”ばかりしていたように思います。
紛失事故と、心臓が飛び出そうな報告電話
新人時代、移動支援で利用者の持ち物を紛失してしまったことがありました。
当たり前ですが、すぐに責任者へ報告しなければなりません。
でも、電話をかける手が震えるほど怖かったんです。
理由は、「利用者の家族に怒られるかも」ではなく、当時の上司がとにかく怖かったから。
その上司は、どんな些細なミスでも妥協を許さない人で、「間違ったことを全力で否定する」スタンスでした。
当時は本当に恐ろしくて、報告の電話をかけるだけで心臓がバクバク。
でも今思えば、あの厳しさがあったからこそ、責任を持つという感覚が体に染みついた気がします。
「背中を追っていた上司の退職」が転機に
私の支援員としての転機は、尊敬していた上司の突然の退職でした。
現場の誰よりも厳しく、頼りになる存在だったその人が、メンタル不調で休職し、そのまま退職したのです。
思いもしなかった出来事でした。
その瞬間から、私は自然と事業所のNo.2の立場になり、多くの責任を担うように。
すると、自分の力の足りなさを嫌でも痛感することになります。
でも、そこでようやく気づけたんです。
「できない自分」を認めることが、支援者としての第一歩だったと。
それからは、雑だった業務が丁寧になり、確認作業にも時間をかけるようになりました。
一歩ずつ、支援員らしくなっていった実感があります。
「支援者としての未熟さ」に気づけたことが、成長の始まりだった
支援の現場に立ち続けていく中で、自分の未熟さに気づいたことが、何よりの学びでした。
新人の頃は、ただ業務をこなしているつもりでした。
でも、振り返るとそこには確認不足、配慮の欠如、視野の狭さがありました。
先輩の退職後、役割が増え、否応なしに「できていないこと」と向き合うようになったのです。
そして、雑だった業務を一つずつ丁寧に見直すようになりました。
特別なスキルが増えたわけではありません。
でも、ひとつひとつの行動に意味を持たせようと意識を変えたことで、周囲からの信頼も少しずつ得られるようになりました。
答えはない。でも「間違い」は利用者が教えてくれる
自分の未熟さに気づき、学び始めた私の次のステップは、従業員への業務伝達でした。
しかしそこで直面したのは、「正解を求める職員」と「正解を持たない私」のギャップです。
職員が求めていたのは、明確な対応マニュアル。
でも、支援現場はそんなに単純ではありません。
状況は常に変わり、誰かが言った「正解」が他の場面では通用しないこともある。
私ができたのは、「なぜそうなったか」を一緒に考えることだけ。
しかしそれが物足りないと感じる職員も多く、「ちゃんと教えてくれ」と怒られたこともありました。
でも今ならはっきり言えます。
「正解は一つじゃない。でも“間違い”は利用者が教えてくれる」。
失敗したとき、伝わらなかったとき、その“ズレ”こそが支援を深めるヒントになります。
正解を探すより、共有を続けよう
支援現場では、つい「正解」を探してしまいがちです。
でも、それよりも大切なのは、現場で起きた事実をどう捉え、どう共有するか。
私たちはチームで支援しています。
上手な支援者が一人いるより、共有と分析を積み重ねられるチームの方が強い。
そして、その力は日々の観察や失敗、そして対話から育まれます。
自分一人でうまくできない…そんなときこそ、チームの力を借りてください。
一緒に考えることで、見えてくる支援があります。
もし、どうしても孤独感がぬぐえないときは、環境を変える選択肢もあっていいと思います。
他法人の見学や、転職サイトを覗いてみることも、気持ちを整理するきっかけになるかもしれません。
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