1. 子育て経験が「支援」に近い理由(導入・共感)
「子育ての経験があると福祉の現場でも役立つ」そんな言葉を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。実はこの言葉、単なるイメージではなく、現場の支援者の間でもよく実感されていることです。
2. 福祉現場での“観察力・気づき力”は子育てで培われる
子育てでは「この泣き方はお腹がすいた?眠たい?体調が悪い?」と、言葉にならないサインを見逃さないようにする場面が日常です。これは支援の現場でも同じ。特に知的障害や自閉症のある方との関わりでは、相手の変化や表情、しぐさから思いを汲み取る力がとても重要になります。
3. 無資格・未経験からのスタート。まさか「できない自分」に出会うなんて
資格も経験もないけれど、就職しなければならなかった——
そんな現実の中で、私は“シマだね支援員”として福祉の現場に立つことになりました。
正直、まさかここまで「業務ができない自分」に出会うとは思っていませんでした。
指示が聞き取れず、段取りが覚えられず、周囲の先輩にも迷惑をかけてばかり。今振り返れば、「仕事ができない」と自分を責めていた時期でした。
🔗 失敗から学んだ支援観はこちら → 「できない」が積み重なった日々と、そこから見えたヒント
子育てと通じる“発達年齢”の視点に支えられた
実は学生時代、保育士や社会福祉士を目指していたことがありました。試験には失敗しましたが、その頃から「人の発達」への関心が強かったのだと思います。
知的障害のある方との関わりの中で、「発達年齢」という手がかりを使って、その人の意図や気持ちを読み取る支援が求められる場面がありました。
その時、「これは保育の視点に近い」と直感したのです。
相手の目線に立って、一緒に驚いたり喜んだりする。
いつの間にか私は、相手に興味を持ち続けられる支援員になっていました。
ミスは続いた。でも、そのたびに「主語」を変えてみた
もちろん失敗は尽きませんでした。事故報告書を毎月のように書く日々。
でもある時から、「もしかして、原因は自分かもしれない」と、主語を“私”に置き換えて考えるようにしました。
それまでは「私は悪くない理由」を無意識に探していたのかもしれません。
でも、自分ごととして向き合うようになってからは、ミスが減るだけでなく、同じミスが起きたときの対策パターンが自然と増えていったのです。
気づけば、チーム全体のヒヤリハットを把握し、対策を練るポジションに。
あの頃の「できない自分」が、今の“支援の継承役”になっていたことに気づいた瞬間でした。
※知的障害のある方との関わりでは、「発達年齢」はあくまで理解のヒントの1つです。
実年齢や性別、生活歴をふまえた支援が大前提であり、その上で相手をどう理解するかを考える視点として活用されるものです。
4. 子育ての経験と福祉現場のギャップ(戸惑いポイント)
ただし、子育てと支援はまったく同じではありません。福祉現場では「大人」として関わる視点も求められますし、発達年齢を参考にしながらも、実年齢や性別、社会的役割も大切にした関わりが求められます。
5. 活かすには“違い”を理解することが第一歩
子育てのように接してしまうことで、かえって自立支援の妨げになることもあります。「してあげる」ではなく、「一緒にやってみる」「できる方法を一緒に考える」姿勢が福祉支援の基本です。子育ての経験がある方ほど、関係性の築き方や成長を見守る力は強みになります。
6. まとめ
子育て経験は、福祉の現場で確かに活きる場面があります。ただし、違いを理解しながら活かすことが大切です。支援の基本は「一緒に暮らしを支えるパートナー」であること。あなたの経験も、きっと誰かの力になります。
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