「できない自分」に戸惑った新人時代
支援の仕事を始めたばかりの頃、
私は自分が「こんなにもできない人間だったのか」と、毎日戸惑っていました。
覚えることが多く、言われたことを1回でこなすのが当たり前のように感じていた私。
でも、現実はそんなにうまくいかない。
何度も同じことを聞き返す自分。
メモを取っても、それを見返す余裕すらない日々。
「迷惑をかけてるんじゃないか」そんな不安ばかりが募っていきました。
人間関係のストレスは、排泄介助よりキツかった
思い返せば、新人時代にいちばんしんどかったのは「人間関係」でした。
体力的には大変な排泄介助も、任されること自体はつらくありませんでした。
でも、毎日毎回のように小言を言ってくるリーダーの存在が、本当にストレスだったのです。
「なんでそんな言い方するんだろう」「また怒られるかもしれない」
緊張でお腹が痛くなるほどの日々。
仕事ができない自分がいたのも事実ですが、それ以上に「怒られるかもしれない恐怖」が、私を押しつぶしていました。
今思えば、排泄介助は“汚れても拭けば済む”。
でも人間関係のトラブルは、後に引きずるし、キレイに片づけることができませんでした。
“1回で覚えなきゃ”は思い込みだった。空回りした私の失敗
「何度も聞くのは恥ずかしい」──そんな思い込みを抱えていた新人時代。
私は「一度で完璧に覚えなければいけない」と勝手に思い込んでいました。
だからこそ、わからないことを何度も聞けずに、結果的に間違えてしまう。
印象に残っているのが、吸入器の使い方を間違えて、注意されたときのことです。
今なら、もう一度確認すれば良かっただけのこと。
でも当時の私は、「頼らずに一人前にならなきゃ」と空回りしていたのです。
支援の現場では、“確認すること”こそが責任感だということに、ずいぶんあとになって気づきました。
“自分にしかできないこと”より、“誰かと支え合えること”
新人の頃の私は、「誰にも頼らずにやり遂げたい」という思いが強くありました。
でも現場は、一人で抱え込むにはあまりにも多くの出来事が起こります。
ある先輩の言葉に、ハッとさせられたことがあります。
「それ、あなたがやらなくてもいいことだよ」
「チームでやってるんだから、頼ったほうがうまくいくよ」
自分にしかできないことにこだわるあまり、「助けて」と言えなかった自分に気づきました。
でも、それをやめたときから、少しずつ肩の力が抜けて、周囲と連携しながら動けるようになったのです。
「一人じゃない」ことが、福祉の仕事を続ける力になったと感じています。
まとめ:できない経験も、支援力に変わる
どんなに小さな失敗も、「なぜ?」と立ち止まった経験は、確実に支援の糧になります。
できなかったことを悔やむより、「できなかったからこそ気づけた視点」を大事にする——
それが、福祉の仕事においてはとても価値ある力になります。
私は今でも完璧ではありませんが、「一人でがんばる支援」よりも「チームで支え合う支援」のほうが、現場では求められると実感しています。
これから支援の道を目指すあなたも、「できない経験」を抱えたまま、一歩踏み出していいのです。
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