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「“わかりました”が現場を混乱させた:言えなかった本音と支援現場のすれ違い

背景に距離感のある女性二人の写真と、「とりあえずわかりました」が現場を混乱させるというメッセージが入ったアイキャッチ画像。右下に驚いた表情の女性イラスト。
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目次

「わかりました!」が口癖だった新人時代

「正直よくわからなかったのに、わかりました!って言ってしまうこと、ありませんか?」

私には、あります——何度も。

支援の現場は、日々状況が目まぐるしく変わる世界です。
一つひとつの判断が秒単位で求められ、ときには支援者どうしで情報をやり取りする場面も多くあります。

そんな中で、先輩や上司から何かを教えてもらうとき、
“わからない”と正直に言うのが失礼に思えて、つい出てしまうセリフがありました。

「はい、わかりました!やってみます!」

魔法のようなこの一言。
その場をうまく切り抜けられる気がして、何度も助けられた気がしていました。

でも、この魔法——
実は“現場を混乱させる呪文”だったと気づいたのは、5年も経ってからのことでした。

“伝わったつもり”が現場を混乱させる

私が「わかりました」と言っていたのは、相手の顔を立てたい気持ちや、
「聞き返すのは悪いことかもしれない」という思い込みからでした。

でも、実際には——
自分がわかっていないまま行動することのほうが、ずっと危険だったのです。

例えば、利用者の薬の準備や、送迎の手順。
理解があいまいなまま進めてしまえば、取り返しのつかないトラブルに発展することもあります。

それに気づいたのは、ある“吸入器”の使い方を間違えたときでした。
操作方法を一度教えてもらっただけで「はい!」と返事をし、確認せずに行動した結果、
大きなミスにつながってしまったのです。

「何で聞き直さなかったの?」
「最初に教えたよね?」

その時、初めて「わかりました」が、相手にも自分にも無責任な言葉になっていたことに気づきました。

“伝えた”と“伝わった”は違う(ズレが生まれる理由)

「伝えたはずなのに、なんで伝わっていなかったんだろう?」

そんなモヤモヤを感じたことが、何度もありました。

電話で伝えたスケジュールが抜けていたり、メモが取れていなかったり——
でもその時は、「ちゃんと話したのに、相手が聞いていなかった」と他責にしていたのです。

ところが、ある時から“伝える”とは、受け手に届いて初めて成立すると気づき始めました。

事業所の電話を常に持つようになってから、相手の状況を想像する習慣がつきました。
「今この人は、メモを取れる状況か?」
「この話は初耳か、それとも確認か?」
そう考えて話すだけで、伝達ミスが大幅に減ったのです。

また、相手から「それって〇〇の話ですか?」と聞き返されることもありました。
最初は恥ずかしく感じたけれど、それがヒントになって、
“伝えたつもり”で進める危うさに気づくようになりました。

“聞き返す”は、信頼の第一歩

「それって、〇〇の件の話ですか?」

相手の話をよく理解できていないとき、私は以前、聞き返すのをためらっていました。
忙しそうな相手の時間を奪ってはいけない——そんな思い込みがあったのです。

でも、ズレたまま話を進めてしまうほうが、よほど時間をムダにしてしまうことに気づいてからは、
あえて聞き返すようになりました。

もちろん、聞き返すことは丁寧な姿勢も求められます。
だから私は、なるべく「相手の要望は何か?」を先に整理してから返すように心がけるようになりました。

その結果、
「話がわかりやすかった」
「あなたとは話しやすい」
と言ってもらえることが増えていきました。

“聞き返す”は、理解しようとするサイン。
それが、信頼を築く第一歩になっていると感じます。

“伝えた”と“伝わった”は違う

「ちゃんと伝えたのに、伝わっていなかった…」
そんな経験、誰しも一度はあると思います。

支援現場では、相手の状況に応じて伝え方を変える必要があります。
私は、四六時中事業所の携帯を持っていた時期に、“伝達の難しさ”を身をもって体験しました。

たとえば、スケジュールを電話で伝えるとき——
相手がカレンダーを見られる状況か?メモを取れる状態か?
これらを確認せずに一方的に話していたことで、伝え漏れや誤解が起きることが多かったのです。

でも、相手の立場や状況を想像して、
「今お時間大丈夫ですか?」
「手元にカレンダーありますか?」
と聞くようになってからは、伝達ミスが激減しました。

“伝えたつもり”は、自己満足。
“伝わったかどうか”を確認する姿勢が、安心と信頼を生むのだと思います。

“話しやすい人”になる工夫

「説明がわかりやすいね」と言われるようになったのは、つい最近のことです。
昔の私は、要件を整理せずに伝えてしまい、かえって相手を混乱させることが多くありました。

でもあるとき、「それって〇〇の話ですか?」と相手に聞き返されることが続いたことで、
「もしかして、私の伝え方が原因かもしれない」と気づいたのです。

それからは、相手が私に“何をしてほしいのか”を言葉にできるよう、話の構成を意識するようになりました。

たとえば、業務連絡では「〇〇について、●●をお願いしたいです」とシンプルにまとめる。
内容が複雑でも、「これは共有、これは依頼」と分けて伝えるようにしました。

結果として、やり取りのミスが減り、
「話しやすい」と言ってもらえる機会が増えていきました。

相手が“理解しやすい”を意識することで、支援の質は確実に変わります。

それでも、「伝え方を工夫しても、どうしてもうまくいかない」こともあります。
それはあなたのせいではなく、組織や環境との相性かもしれません。

無理を続けて心や体をすり減らしてしまう前に、
環境を変える選択肢(転職や見学)を視野に入れてみるのも、大切な自己防衛だと私は思います。

「もう無理…」となる前に読んでほしい、転職という選択肢。
支援の工夫を重ねても、環境やチームとの相性が合わないこともあります。
自分を責める前に、“場所を変える”という視点も持っておきましょう。


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