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「“辞めてもいい”と思ったら、15年続いた:支援現場で折れなかった理由」

「公園の道を歩く女性の後ろ姿と、“辞めてもいい”と思えたから15年続いた というメッセージ」
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目次

「辞めてもいい」そう思えたことで、気持ちが軽くなった

「辞めたい」「逃げたい」と思ったことは、何度もありました。
でも不思議なことに、「辞めてもいい」と思った瞬間から、少しだけ楽になったんです。

「続けなきゃ」「辞めちゃいけない」と思っていたときの私は、
まるで自分を縛りつけるように働いていました。

でも「仕事はいつでも辞められる」と思ったら、不思議と「今はまだ辞めたくない」という気持ちが出てきたんです。

自分に“逃げ道”を用意することで、心の余裕ができた。
そこから、私は15年以上この仕事を続けてこられました。

「怖いのは利用者より上司だった」——ヘルパー時代のあの日

ヘルパーをしていた頃、利用者の持ち物を紛失してしまったことがあります。
すぐに上司に報告しないといけない。でも、電話をかける手が震えるほど、怖かったんです。

正直、利用者家族よりも、当時の上司が本当に怖かった。
もちろん、紛失事故はあってはならないこと。

でも「間違ったことは間違い」と、真正面から向き合って叱ってくれた上司の姿勢には、今は本当に感謝しています。

あのときの緊張と怖さは、今もはっきり覚えています。
でも、その経験があったからこそ、「責任を取る」「報告を怠らない」姿勢を学ぶことができました。

「あの“鬼の上司”が退職した日、私は変わった」

怖い上司に支えられていたのは、実は自分のほうだった——
その事実に気づいたのは、上司が突然退職した時でした。

私の背中を押してくれていたはずの存在がいなくなり、
気がつけば私は事業所内のNo.2。責任を背負う立場になっていました。

そのときはじめて、自分の業務の甘さや支援への姿勢の浅さに気づかされました。
失敗もたくさんしました。でもそれは、自分の足りなさに向き合うための大事な機会だったのです。

あの時、上司が退職しなかったら、
私はいつまでも“背中を追いかけるだけの支援員”だったかもしれません。

「“答え”が欲しい。でも支援には“正解”がない」

責任者になってから、非常勤職員との間で意見がぶつかることがありました。

「どう対応すれば収まるのか」「何をすればいいのか」
支援の“正解”を求められることが増えたのです。

でも実際には、行動には背景があり、状況は刻一刻と変わる
私にできるのは、「こうかもしれない」というヒントを出すことだけでした。

当然、具体的な“やり方”を期待していた職員は苛立ち
時には私に怒りをぶつけてくることもありました。

でも私は今も思います。
この仕事に“完璧な正解”なんて存在しません

ただひとつ言えるのは、
間違っていたかどうかは、利用者が教えてくれるということです。

「“正解を探し続ける姿勢”が、支援の根っこだった」

この仕事で求められるのは、
「自分なりの正解を押しつけること」ではなく、
「チームで正解を探し続けること」
だと私は思います。

一人の支援者がどれだけ上手でも、
その人だけで成り立つ支援なんて、長続きしません。

現場の情報を記録し、
共有し、
それをもとに「この人にとって良い支援って何だろう?」を
何度でもチームで問い直す。

それができる現場は、たとえ失敗があっても前に進めます。

だからこそ、今つらいと感じる職場があるなら、
「違うチームに出会うこと」も大事な選択肢

見学、異動、転職――。
“場所”が変わると、見える景色も変わるかもしれません。

「“辞めない理由”より、“辞めてもいい”と思えたことが支えだった」

私は、辞める覚悟ができたときに、
ようやくこの仕事を「自分の選択肢のひとつ」として受け入れられた気がします。

あの頃の私に伝えたいのは、
「今すぐ辞めてもいい。
でも、もう少しやってみたいと思えるなら、それが“あなたの支え”になる」
ということ。

今、モヤモヤしている人にとっても、
続けるための理由が見つからなくても、
“辞めたくない”と思えたら、それが十分な理由になるのかもしれません。

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