なぜ「利用者さんの呼び方」に迷うのか
利用者さんの呼び方に迷うのは、決してあなただけではありません。
私自身、新人の頃は「これで失礼にならないかな…」と何度も悩んでいました。
呼び方に迷う理由は、大きく分けて3つあります。
① 現場ごとに「文化」が違うから
ある事業所では「○○さん」、別の事業所では「○○くん」、さらに管理者は「利用者さん」。
同じ職場でも先輩によって呼び方が違うこともあります。
② 支援者の“支援観”が違うから
「お客様として丁寧に呼びたい」「家族のように自然に呼びたい」「仲間としてフラットに呼びたい」など、支援観ごとに「正しさ」が変わります。
③ 迷うのは“あなたが誠実だから”
失礼になりたくない、丁寧に関わりたい。そんな気持ちがあるからこそ呼び方で迷うのです。
この3つの理由が重なるため、呼び方は誰でも迷います。そして、その迷いこそが支援者としての優しさや誠実さの証拠なのです。
見極め方① “その人が安心できる距離感”
呼び方を決めるとき、まず一番大事なのは「その人が安心できる距離感かどうか」です。
私自身の経験ですが、ある利用者さんは「苗字+さん」と呼ぶと嬉しそうに近づいてくれました。しかし「名前だけ」で呼ぶと、ふっと視線をそらして距離を取られたことがあります。
その時に気づいたのは、呼び方そのものより「距離感のフィット感」が大事だということでした。
距離感の見極めには、こんなヒントがあります。
- 呼びかけた瞬間の表情はどう変わる?
笑顔が増える? 不安そうになる? - 身体の動きはどう?
近づく? 少し離れる? 固まる? - 声のトーンへの反応は?
柔らかい声が好き? ハッキリが安心?
小さな変化の積み重ねが、“その人に合った安心の距離”を教えてくれます。
呼び方に迷ったら、正解を探すよりもまず「この距離感で安心できているだろうか?」を手がかりに見極めてみてください。
もっと“利用者さんとの距離感”について深めたい方は、こちらの記事もどうぞ。
利用者=お客様? その問いに、現場で出した私なりの答え
見極め方② “現場の文化・チームの意図”
利用者さんの呼び方は、どの職場で働くか・誰と一緒に支援するかによって大きく変わります。
新人の頃、私は「○○さん と呼んでくださいね」と言われた直後に、別の先輩から「うちは “名前呼び” でいいよ」と言われて混乱した経験があります。
その時感じたのは、呼び方には“職場の文化”と“チームの意図”が強く反映されているということです。
呼び方を見極めるときは、次のポイントが参考になります。
- その職場は“丁寧さ重視”? “自然さ重視”?
施設A:利用者さん・苗字呼びが基本
施設B:名前呼びで距離を近づける文化
施設C:フラットな関係づくりを大切にする - チームで統一したい意図があるか?
支援の一貫性を保つために「呼び方は揃えたい」という意図がある現場もあります。 - 迷ったら“先輩の意図”を聞いてOK
「なぜその呼び方をしているのか」を知ると迷いが一気に減ります。これは失礼ではなく、むしろ誠実な行動です。
呼び方は単なる言葉選びではなく、「この職場は、利用者さんとどう関わろうとしているのか」を映す鏡でもあります。
見極め方③ “あなたの支援姿勢(どう関わりたいか)”
呼び方を決めるときに、大切なのが“あなた自身の支援姿勢”です。
現場は忙しく、周りの呼び方に引っ張られることもあります。でも、最後に残るのは、「利用者さんとどんな距離感で関わりたいのか」という部分です。
私は新人の頃、“さん付けで丁寧に関わるべきか”“名前呼びで距離を縮めるべきか”で迷ってばかりでした。
そんな時、ある先輩に言われた言葉で腑に落ちました。
呼び方って“支援の姿勢”が出るよ。
自分が大事にしたい距離感で、まずはやってみたら?
それ以来、私は “相手に敬意が伝わる呼び方” を軸に選ぶようになりました。周りと少し違っても、理由を説明できれば十分です。
迷ったときのヒント
- 相手を尊重したい → さん付けでOK
- 距離を近づけたい → 名前呼びも間違いではない
- 迷ったら「自分はどう関わりたいか」で選んでよい
呼び方は、あなたの個性や支援観が表れる大切な部分です。現場の文化も大事ですが、あなた自身の支援姿勢も同じくらい大切です。
迷ったときの“最終判断”
迷ったときの結論は、とてもシンプルです。
「相手を尊重しているかどうか」
「その呼び方で、自分が堂々と関われるか」
この2つが揃っていれば、どの呼び方でも間違いではありません。
私自身も新人の頃、「間違った呼び方をして怒られたら…」と不安でしたが、意図をもって選んでいる呼び方は必ず伝わります。
そして迷ったときほど、「今日はどんな関わりをしたいか」と考えることで、自然と呼び方も定まっていきました。
迷ったときのチェックリスト
- 相手への敬意がある呼び方か?
- 自分がその呼び方で自然に関われるか?
- 現場の文化と極端にズレていないか?
- 理由を説明できるか?
呼び方は正解探しではありません。大切なのは、毎日の支援の中で、相手との関係性が育っていくことです。
あなたが丁寧に選んだ呼び方は、必ず支援に活きます。
まとめ:呼び方に迷うのは、丁寧に関わりたいと思っている証拠です
利用者さんの呼び方は、“正解を当てる”ものではなく、あなたが大切にしたい関わり方を言葉にのせる作業です。
迷ってしまうのは、「失礼になりたくない」「丁寧に関わりたい」という想いがあるからこそ。だから、迷うこと自体は悪いことではありません。
今日の記事で紹介した
- 失礼にあたらないか
- 現場の文化に合っているか
- 自分が自然に関われるか
この3つを押さえていれば、あなたの選んだ呼び方は必ず支援に活きます。
そして、呼び方で迷う背景には、“支援観のちがい”や“職員同士の感覚のズレ”が隠れていることもあります。
呼び方をめぐって職員同士の認識が揺れたときの話はこちら
支援観のズレに悩んだときの話(relationships)
あなたが丁寧に選んだ言葉は、相手とあなたの関係性をゆっくり育ててくれます。どうか安心して、あなたらしい関わり方を続けてくださいね。
